お椀の専門店 三義漆器店
 塗りの達人「賢三」・筆の達人「隆華」の二人の伝統工芸士の作り出す高級漆から
食器洗浄機・電子レンジ対応のお椀などど、器全般の製造をいたしております。

ブログでは、工房や工場、スタッフの日常などの日々をご紹介していきます。



企業の覚悟

福島民報社の新聞に弊社の記事が掲載されました。








福島をつくる(9) 第1部 企業の覚悟 三義漆器店(会津若松)

http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2015/01/post_11301.html
完成した漆器を箱に詰める社員
 
 
<海外市場を視野に>
 おわんやお盆、弁当箱が次々と箱に詰め込まれ、トラックで全国の小売店や専門店に運ばれる。会津若松市門田町の三義(さんよし)漆器店は伝統の会津塗をはじめ、使いやすく工夫した食器類の製造と販売を手掛けている。
 平成26年に新しい工場を設けた。製造ラインを増やし、機能の異なる商品を大量に生産できるようにした。年間生産量は約400万個に上る。
 看板は多彩な品ぞろえで、約2000種類に及ぶ。伝統的な漆器はしっとりとした手触り。漆などの塗料に樹脂を混ぜた合成漆器は食洗機や電子レンジでも使える。新しい食器は漆を使わずプラスチックを基に軽量化を追究した。
 今年は5日に仕事を始めた。社長の曽根佳弘(50)は社長室で創業80年の重みをかみしめた。「世界の人が欲しがる会津の食器を作る」。決意は二度の経営危機を乗り越えた経験に裏打ちされている。
 最初の窮地は11年だった。中国から大量の漆器が入ってきた。国内製品の10分の1という安さで一気に市場に広まる。三義漆器店は売り上げが半減した。
 曽根は考えた。「卸問屋の目が安価な中国製に集中している」。曽根は卸問屋を介さず、全国の小売店や専門店に直接売り込む作戦を選んだ。初対面の担当者と交渉するのは手間や時間がかかるが、店と強い信頼関係を築ける。要望は新商品に生かす。自分の判断を信じて各地を歩いた。
 全国的な展示会にも積極的に製品を並べた。交通費や輸送料は一回当たり100万円近く負担になったが、店との接点づくりを重く見た。消費者とじかに接する店の求めに応え、同業者は扱っていない商品を提案するなど地道な努力を惜しまなかった。赤字は3年続いたが、15年に黒字へ転じる。取引先は毎年約500社ずつ増え、販売網を約6000店にめぐらせた。製品の種類は国内の中国製をはるかにしのぐ。
 曽根は新たな市場として海外を視野に入れ始めた。漆器は美術品として人気があった。「洗練された会津の食器は世界で通用するはずだ」。多少値は張っても、安い商品に競り勝つと確信していた。胸が高鳴った。曽根は海外で製品を紹介できる展示会を探し始める。(文中敬称略)