お椀の専門店 三義漆器店
 塗りの達人「賢三」・筆の達人「隆華」の二人の伝統工芸士の作り出す高級漆から
食器洗浄機・電子レンジ対応のお椀などど、器全般の製造をいたしております。

ブログでは、工房や工場、スタッフの日常などの日々をご紹介していきます。

企業の覚悟 2

新聞掲載 2日目となりました。


福島をつくる(10) 第1部 企業の覚悟 三義漆器店(会津若松)


http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2015/01/post_11306.html
最新の撥水機能を持つ食器の出来栄えを確認する曽根

画像をクリックすると、民報社様のホームページにリンクします。
 
 
 
 
<機能性の追究結実>
 会津若松市門田町で食器製造を手掛ける三義(さんよし)漆器店は平成19年9月、初めて国外の展覧会に漆器を出品した。社長の曽根佳弘(50)は会場のパリに直接赴いたが、現地の卸業者の反応と文化の違いにがくぜんとする。
 「美術品ならともかく、食器に漆を塗る意味が分からない。高い金を出す価値があるのか」。酷評され続けた。
 漆は器の割れと劣化を防ぐが、鉄製のフォークやスプーンで簡単に傷付き塗装が剥がれた。欧州では食器に機能性が求められた。
 曽根はフォークでも傷の付きにくい樹脂を塗った食器へ改良を重ねた。料理も器も楽しむ日本人の感覚を丁寧に説く。
 注文が増え始め手応えをつかんだ直後、「3・11」が起きた。
 国内から注文の取り消しが相次ぐ。海外からは安全の証明書が必要だと迫られた。予想外の反応と注文に社員は浮き足立った。
 中国製品との競争を乗り越えた経験が曽根を冷静にさせる。小売店は通常、品物がなければ売り場を他社の品で埋める。再び売り場を獲得するのは容易ではない。曽根はすぐに国内外の取引店舗に対応を伝えた。「安全性を確認し早急に商品を届ける。必ず送る」。店側は約束を信じ、売り場を縮小させずに待った。
 小売店と築いた信頼が東京電力福島第一原発事故で切れそうになった関係をつなぎ留めた。
 東日本大震災の被災者に食器を贈った。ところが現地は水が不足し、洗えないため敬遠された。曽根は油や水の付きにくい撥水(はっすい)機能を高めた食器を考え始める。
 26年4月に大手専門メーカーとの共同研究で、汚れにくく洗いやすい食器の量産化に成功した。国内の量販店をはじめ、米国のアウトドア用品店とも契約を交わし商品を卸す。
 8月には、弁当容器「丼弁当」が米国のニューヨーク近代美術館(MoMA)に認められ、館内で展示・販売された。世界で優れた近代美術品や工業デザイン製品を集めた「殿堂」とされる。各国から来館者があり、次々と注文が入った。曽根は自信作を手に語る。「世界が会津の器を認めてくれたと感じた。つらい経験を塗り重ね、価値ある器ができた」(文中敬称略)